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介護記録をAIに書かせるときのプロンプト集(個人情報を入れずに使う型)
介護記録や報告書をChatGPTなどのAIに下書きさせるための、そのまま使えるプロンプトを用途別にまとめました。あわせて、利用者様のお名前や病歴を入力せずに同じ結果を得るための書き方を解説します。
「AIに介護記録を書かせる」という記事はたくさんありますが、そのまま真似すると危ないものが混ざっています。利用者様のお名前や病歴を、そのまま入力させている例です。
ここでは、用途別のプロンプトと、個人情報を入れずに同じ結果を得る書き方を並べて書きます。研修で最初にお伝えしている内容です。
大前提 ─ 入れてよいものと、入れてはいけないもの
施設で使い始める前に、これを紙1枚にして全員に配ってください。ここを決めずに始めると、後で大きな問題になります。
入れてはいけないもの
- 利用者様のお氏名、イニシャル、部屋番号
- 生年月日、年齢の1歳単位の表記
- 病名、既往歴、服薬内容
- ご家族のお名前、連絡先
- 職員の氏名
入れてよいもの
- 「A様」「利用者様」などの仮名
- 「80代・女性・要介護3」といった粒度の属性
- 観察した事実そのもの(「朝食を半分残された」「歩行時にふらつきがあった」)
- 施設の書式や、記載のルール
考え方は単純です。その文章だけを見て、誰のことか特定できなければよいということです。氏名を「A様」に置き換えるだけで、AIが返してくる文章の質はまったく落ちません。返ってきた下書きを記録システムに貼るときに、お名前を戻してください。
なお、施設として利用するのであれば、入力内容が学習に使われない設定になっているサービス・プランを選んでください。無料版をそのまま業務で使っている状態は、施設としては説明がつきません。
用途別のプロンプト
以下の「A様」は必ず仮名です。そのままお使いいただけます。
1. 日々の介護記録の下書き
あなたは介護施設の記録作成を補助するアシスタントです。
以下のメモを、介護記録として提出できる文章に整えてください。
条件:
- 事実と、職員が行った対応を分けて書く
- 推測や評価(「機嫌が悪そう」など)は書かない。観察できた事実だけを書く
- 300字以内
- 敬体(です・ます)
メモ:
A様。朝食半分残す。声かけしたが食欲ないと。水分は200ml摂取。
午前の体操は参加。歩行時に右にふらつきあり、見守りで対応。
**ポイントは「推測を書かない」の1行です。**これを入れないと、AIは「不安を感じておられるようでした」のような、観察していない内容を勝手に足します。記録としては書いてはいけない文章です。
2. 事故・ヒヤリハット報告書の下書き
以下の事実関係から、事故報告書の「発生状況」の欄に書く文章を作ってください。
条件:
- 時系列順に、いつ・どこで・何が起きたかだけを書く
- 原因の断定や、責任の所在は書かない
- 「〜と思われる」といった推測は使わない
- 発見時の状況と、その後の対応を分けて書く
事実関係:
(ここに箇条書きで入れる)
事故報告書でAIを使う価値は、文章を作ることではなく、時系列と事実だけに整理してくれるところです。原因の分析は人が書いてください。
3. ご家族への報告文
ご家族へお送りする月次のご報告の文章を作ってください。
条件:
- 400字程度
- ご家族が読んで安心できるように、しかし良いことだけを書かない
- 変化があった点は、はっきり書く
- 専門用語は使わず、使う場合は説明を添える
- 医療的な判断や見通しは書かない
今月の様子:
(ここに箇条書きで入れる)
**「医療的な判断や見通しは書かない」を必ず入れてください。**入れないと、AIは予後や診断に踏み込んだ表現を書いてきます。そのままご家族にお送りすると、後で大きな問題になります。
4. 委員会・会議の議事録
以下のメモから、委員会の議事録を作ってください。
条件:
- 「検討した項目」「決まったこと」「次回までの宿題と担当」の3つに分けて書く
- 決まっていないことを、決まったように書かない
- 発言者は職種で表記する(氏名は使わない)
メモ:
(ここに箇条書きで入れる)
生産性向上のための委員会の議事録にも、この型がそのまま使えます。**「決まっていないことを、決まったように書かない」**の1行が重要です。ここを入れないと、AIは議事録を綺麗にまとめすぎて、実際には結論が出ていない議題に結論を書いてしまいます。委員会の議事録に何を残すべきかはこちらの記事に整理しました。
5. 求人原稿・広報文
介護職員の求人原稿を作ってください。
条件:
- 応募者が知りたい順に書く(勤務時間・夜勤の回数・給与・休日・仕事の中身)
- 「アットホームな職場」「やりがい」といった、どの施設でも書ける言葉は使わない
- 事実だけを書く。書けない条件は空欄にして、こちらに質問してください
施設の条件:
(ここに箇条書きで入れる)
最後の**「書けない条件は空欄にして質問してください」**が効きます。これを入れると、AIが勝手に条件を創作するのを止められます。
うまくいかないときに足す1行
返ってくる文章が使えないときは、たいてい次のどれかで直ります。
- 長すぎる → 「300字以内」と字数を数字で指定する
- きれいすぎて嘘っぽい → 「観察できた事実だけを書く。推測は書かない」
- 専門用語が多い → 「ご家族が読む前提で、専門用語は使わない」
- 毎回書式が違う → 施設の過去の記録を2〜3本貼って「この書式に合わせてください」
- 創作してくる → 「与えられた情報だけで書く。足りない情報は書かずに質問してください」
最後の1行は、どの用途でも入れておいて損がありません。
AIに任せてはいけないところ
これは研修で必ず時間を取ってお話ししています。
- ケアの方針の判断
- 利用者様の状態のアセスメント
- 医療的な記述の確定
- ご家族へのデリケートなご説明の最終判断
AIは下書きを作る道具です。**最終確認は必ず職員が行ってください。**そして「確認した人が誰か」を残す運用にしてください。ここが曖昧な施設では、そのうち誰も読まずに貼るだけの記録が生まれます。
現場で定着させるには
プロンプトを配っただけでは、まず定着しません。最初の2週間は、手で書いたほうが早く感じます。ここで止まる施設が多いです。
- 使う場面を1つだけに絞って始める(申し送りか、日々の記録のどちらか)
- 分かる職員を最低2〜3名作る。1人だけにすると、その方の異動で止まります
- 個人情報のルールを研修の一番最初に置く
順番の詳しい話は介護記録の効率化は、どこから手をつけるべきかに、申し送りの型については申し送りの「書く時間」を減らすテンプレート化の手順に書いています。
当社では、御施設の書式に合わせたテンプレートの作成と、職員向けの研修(個人情報の扱いから始めます)、そして毎月の伴走支援をまとめてご提供しています。大阪市北区の会社なので、府内であれば直接お伺いできます。ご相談は無料です。
効果は施設の状況により異なります。