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申し送りの「書く時間」を減らすテンプレート化の手順
介護施設の申し送りにかかる時間を減らすため、何を型にして何を人が書くかを線引きする具体的な手順を解説します。
申し送りは、勤務が変わるたびに毎日繰り返す業務です。だからこそ、書式が定まっていないと同じ内容を毎回一から文章にすることになり、地味に時間を奪います。ここでは、申し送りの中身を「型にできる部分」と「人が書くべき部分」に分けて、テンプレート化を進める手順をまとめます。
申し送りに時間がかかる理由
多くの施設で申し送りに時間がかかる原因は、内容の複雑さよりも「毎回文章を組み立て直していること」にあります。バイタル測定値や食事摂取量など、実は選択肢の中から選べば済む情報まで、職員がその都度文章で書いています。書く側は言い回しに気を使い、読む側は同じような文章から必要な情報を探し出す。この往復に時間がかかっています。
型にする部分と人が書く部分の線引き
テンプレート化でつまずきやすいのは、「全部を型にしようとする」ことです。定型化に向く情報と、向かない情報は性質が違います。まずこの線引きをはっきりさせます。
型にしてよい部分
毎回同じ項目を、同じ形式で記録している情報です。たとえば次のようなものが当てはまります。
- バイタル(体温・血圧・脈拍など)の数値
- 食事の摂取量(全量・半分・数割など段階で表せるもの)
- 水分摂取量
- 排泄の回数や性状
- 睡眠時間や中途覚醒の有無
これらは数値やチェック欄、選択式の項目にできます。文章にする必要がありません。
人が書く部分
その日、その利用者に特有の出来事です。たとえば次のような内容は型にしません。
- いつもと違う言動や表情の変化
- 家族との面会でのやり取り
- 転倒やヒヤリハットなど、経緯の説明が要る出来事
- 医師や看護師への報告内容とその後の対応
- 次の勤務者に特に注意してほしい理由
これらは背景や経緯があるため、選択肢では表現しきれません。ここは職員が自分の言葉で書く部分として残します。
テンプレート化の具体的な手順
ステップ1 直近1週間分の申し送りを集める
まず、実際に書かれた申し送りを1週間分集めます。フロアや時間帯によって書き方に差があることが多いので、複数の職員が書いたものを見比べます。
ステップ2 頻出する項目を洗い出す
集めた申し送りの中から、ほぼ毎回登場する項目を抜き出します。「体温」「食事量」「排泄」など、名詞として繰り返し出てくる言葉に注目すると見つけやすくなります。
ステップ3 数値・選択式にできる項目を分ける
洗い出した項目のうち、数値やチェックで表せるものと、文章でしか表せないものを分けます。ここで先ほどの線引きを使います。迷う項目は、いったん「人が書く欄」に残しておく方が安全です。無理に型に押し込むと、大事な情報が漏れます。
ステップ4 1つのフロアで試す
いきなり全施設で切り替えるのではなく、1つのフロアやユニットで試します。紙の申し送りノートでも、記録ソフトの入力画面でも構いません。数値・チェック欄と、自由記述欄を分けたレイアウトを用意します。
ステップ5 使いながら見直す
2週間ほど使ってみると、「この欄は誰も書いていない」「この項目が足りない」といった声が出てきます。使われない項目は削り、足りない項目は追加します。テンプレートは一度作って終わりではなく、使いながら調整するものです。
テンプレート化の具体例
ある施設では、申し送りの冒頭にバイタルと食事・水分・排泄をチェック欄でまとめ、その下に「特記事項」として自由記述欄を1つだけ置く形にしました。特記事項には、普段と違う様子や次の勤務者への申し送りだけを書くルールにしています。定型部分の記入は数十秒で終わり、職員は特記事項を書くことに時間を使えるようになりました。書く分量自体は減っていませんが、迷いながら文章を組み立てる時間が減っています。
運用で気をつけたいこと
テンプレート化は、情報を削ることではありません。定型的な情報を型に移すことで、本当に人の目と言葉が必要な情報に時間を割けるようにする取り組みです。チェック欄を増やしすぎると、今度はチェックすること自体が目的化し、異変への気づきが薄れることがあります。定型部分と自由記述部分のバランスは、施設の状況を見ながら定期的に見直すことをおすすめします。
制度に関わる記録の扱いについては、専門家にご確認ください。